近年アジア産アラビカ豆は生産量の増加や品質の向上から注目が高まってきています。 中でもタイ産にコーヒーはタイ国内でコーヒーの消費の伸びが大きく、ほぼ国内で消費されてしまうためあまり輸出されていません。輸出は多くありませんが、生産者の生産意欲の高さから安定して上質なコーヒー豆が生産されています。
タイでは1950年からアラビカ種のコーヒーが持ち込まれ、1972年から1979年にかけて栽培が盛んになりました。涼しい気候はアラビカ種の栽培に適しています。 1969年ラーマ9世(プミポン前国王)がタイ北部で深刻な健康被害をもたらしていたケシ栽培を撲滅するため、王室プロジェクトとしてケシ代替栽培を奨励していました。
ラーマ9世は焼畑農業による環境破壊と麻薬を撲滅し山岳地方に住む人々を救済するためケシの代わりになるコーヒーや果物の栽培を促しました。 ラーマ9世の母シーナカリン王太后もまたケシ撲滅のため、1988年「ドイトゥン・プロジェクト」を立ち上げ「メーファールアン財団」を設立し、チェンライ県ドイトゥンでコーヒー栽培やマカダミアナッツ栽培を奨励しました。これらの活動は森林保護や山岳民族の自立支援につながりました。 タイのコーヒーは世界的に見て輸出量は少ないですが、その歴史や物語は注目するに値します。貿易により外国からもたらされたコーヒーの苗木がタイの地元で根付き、その栽培により村が豊かになり、インフラが整備され国民の生活を向上させました。現在では国際的な賞を受賞する腕前のバリスタが登場するほどタイのコーヒー文化は発展しています。